春望

国 破 山 河 在(国破れて山河在り) 
城 春 草 木 深 (城春にして草木深し)
感 時 花 濺 涙 (時に感じては花にも涙を濺ぎ )
恨 別 鳥 驚 心 (別れを恨んでは鳥にも心を驚かす)
烽 火 連 三 月 (烽火三月に連なり) 
家 書 抵 万 金 (家書万金に抵たる)
白 頭 掻 更 短 (白頭掻けば更に短く)
渾 欲 不 勝 簪 (渾べて簪に勝へざらんと欲す)

これは、盛唐の詩人杜甫の長安の荒廃した様を見てうたったものである。757年、作者46歳、長安での作である。詩の前半は眼前の景を見て、変化する人の世と、変わらない自然とを対比させて感慨にふけるのを表し。後半は国を憂い妻子を思い、心労によって急激に衰えた身を嘆くことをもって結でいる。


確かこの漢詩は、高校の漢文の教科書に載っていたと記憶している。他の漢詩は何一つ覚えていないのにこの詩だけは、今でもスラスラとそらんじる事ができる。別に漢文が得意な学科ではなかったが・・・なぜかこの詩だけは、記憶に残っている。

当時暗記はしたけれど意味については深く考えた事はなかったが・・・年月を経て年を重ねた今何故か心に滲みるから不思議である。特に「白頭掻けば更に短く」は、白髪になって薄くなって来た自分の髪の毛と照らし合わせてやけにじ〜〜んと心に沁みるのである。

<杜甫(712~770)盛唐の詩人>

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李白とともに唐代最高の詩人である。湖北省襄陽県の人であるが、洛陽に近い河南省鞏県で生まれた。35歳ごろまで、呉、越、斉、趙の間を遊歴した。この間に李白、高適と交わり、詩を賦したりしている。役人として職に就いたり、解かれたり、左遷されたり、また戦争に巻き込まれたりもした。760年、剣南節度使の厳武に見出され、四川省成都の郊外に草堂を建てて住んだ。この時期は、杜甫の一生の内で比較的平穏な時期であったと言われる。765年厳武が死に、蜀の地が乱れた為、又、貧と病に苦しみながら、四川、湖北、湖南の地を流浪した。770年湖南省耒陽県で不遇のうちに生涯を終えた。